横地分類
(2014,7,17改訂)
「移動機能」、「知的発達」、「特記事項」の3項目で分類し、以下のように表記する。
例;A1-C、B2、D2-U、B5-B、C4-D
Ⅰ.移動機能(1~6)
- 寝返りもできない(寝返り不可)
- 寝返りはできる(寝返り可)
以下の1)と2)を満たすことによって判定する1) どんなやり方でもいいので、意識性を持って、仰向けからうつ伏せになり、手が抜ける。バタバタ動いて、偶然成功したといった場合は、不可とする。
2) 座位保持、ハイハイはできない。
- 座位保持はできる(座位保持可)
以下の1)と2)を満たすことによって判定する1) 床上に座位をセットして、少なくとも30秒は、手を床から離しても倒れない。自力で、臥位から座位に移行できなくてもいい。
2) ハイハイ、伝い歩きはできない。寝返りはしないのに、座位保持ができることが例外的にはあるが、その場合はこのレベルにする。
- 室内をハイハイ・つたい歩きなどで移動できる(室内移動可)
以下の1)と2)を満たすことによって判定する1) ハイハイ(肘ばい、四つばい)でも、物につかまって(伝い膝歩き、伝い歩き)もいいので、平坦な床上を、少なくとも10mは移動できる。寝返りでゴロゴロ動くだけでは不可とする。
2) 独歩はできない(レベル5の室内歩行可能に達しない)。座位保持はできないのに、室内移動ができることが例外的にはあるが、その場合はこのレベルにする。
- 歩行が限定的に可能(室内歩行可)
以下の1)と2)を満たすことによって判定する1) 平坦な床上を、物につかまらず、少なくても20mは移動できる。
2) レベル6の戸外歩行可能に達しない。
- 戸外でも介助なく歩ける(戸外歩行可能)
以下の1)を満たすことによって戸外歩行可能とみなす1) 少なくとも2階までは、手すりなしで、階段の昇降が可能である。
注1)補装具の有無でレベルが変わる場合は、補装具を付けた状態で判定する。
注2)視覚障害がある場合は、視覚障害がないと仮定した場合の移動機能を類推して判定する。
Ⅱ.知的発達(A~E)
- 日常生活に関する簡単な言語理解もできない(言語理解不可)
- 日常生活に関する簡単な言語理解はある(簡単な言語理解可)
以下の1)あるいは2)の基準で判定する1) 「ごはん」「さよなら」「おやすみ」といった簡単な日常生活語を、2語以上は理解する。
2) 発達年齢では、1歳以上とみなす(聴覚言語理解で判定できない場合)。
*対象が成人ならば、知能指数は6以上(約10以上)に相当する。
発達年齢/暦年齢=1歳/17歳9か月=0.06
(全訂版田中ビネー知能検査(1987年)に準拠して算出) - 色や数が、少しはわかる(簡単な色・数の理解可)
以下の1)あるいは2)の基準で判定する1) 赤・黄・青のうち、少なくとも2色はわかる。かつ、2以上の数がわかる(例えば、「・・を2個取って」で2個がわかる)。
2) 発達年齢では、3歳半以上とみなす(上述の基準では判断できない場合、他の領域から判断した結果)。
*対象が成人ならば、知能指数は20以上に相当する(知能指数20は、最重度精神遅滞と重度精神遅滞の境界である)。
発達年齢/暦年齢=3歳6か月/17歳9か月=0.20 - 文字・数字が、少しはわかる(簡単な文字・数字の理解可)
以下の1)あるいは2)の基準で判定する1) ひらがな(濁音・拗音・撥音は除き)と数字(ひと桁)が読める。
2) 発達年齢では、6歳以上とみなす(上述の基準では判断できない場合、他の領域から判断した結果)。
*対象が成人ならば、知能指数は35以上に相当する(知能指数35は、重度精神遅滞と中等度精神遅滞の境界である)。
発達年齢/暦年齢=6歳/17歳9か月=0.34(約0.35) - おつりの計算ができる(簡単な計算可)
以下の1)あるいは2)の基準で判定する1) 千円札で複数の物を買って、おつりの計算ができる。時間がかかっても、筆算で計算できればいいものとする。実際的には、渡されたおつりの百円程度の間違いには気づけばよしとする。
2) 発達年齢では、9歳以上とみなす(上述の基準では判断できない場合、他の領域から判断した結果)。
*対象が成人ならば、知能指数は50以上に相当する(知能指数50は、中等度精神遅滞と軽度精神遅滞の境界である)。
発達年齢/暦年齢=9歳/17歳9か月=0.51(約0.5)
注)視覚・聴覚障害がある場合は、その障害がないと仮定した場合の能力を類推して判定する。
Ⅲ.特記事項
以下に該当する特記事項があれば、イニシャルを記す(該当する分だけ、複数記載)。C・B・D・Uの項目は、移動機能と知的発達だけでは、実際より軽症とみなされるのを防ぐことを意図している。B・DはA1では省き、U はA1・B1・C1・D1・E1・A2・B2では省くのは、このためである。
- C:眼瞼固定で睡眠・覚醒リズムなし (概日リズムなし:absent circadian rhythm)
- 有意な眼瞼運動が見られず(開眼位で固定が多い)、睡眠・覚醒リズムが明らかではない。この場合は、まず、眼球運動も見られず、表情・体動による有意な表出もない。まず「A1」の人工呼吸器使用者が多いはずであり、A1の中での特に重症者を想定している。
- B:盲 (盲:blindness)
- 有意な視覚行動がない。ただし、この原因が中枢性視覚障害による場合は、これに該当しないものとする。なお、「A1」の場合は省略する。
- D:難聴 (難聴:deafness)
- 有意な聴性行動がない。ただし、この原因が中枢性聴覚障害による場合は、これに該当しないものとする。なお、「A1」の場合は省略する。
- U:両上肢機能全廃相当 (上肢:upper extremities)
- 食事に、全面的な介助が必要である。上肢機能の運動障害の原因疾患が、頚髄損傷・アテトーゼ・神経筋疾患などとして特定されている病態を指している。ただし、全介助となる理由が、知的障害や視覚障害であるとみなされる場合は、これに該当しないものとする。なお、移動機能が「1」の場合と、「A1」「B2」の場合は、両上肢機能全廃相当とみなし、省略する。
- TLS:完全閉じ込め状態 (完全閉じ込め状態:totally locked-in state)
- 知能障害や感覚(視力・聴力)障害はないか軽度であるにもかかわらず、音声言語表出、動作・表情・目つきの表出がすべて失われている状態を指す。最重症の神経筋疾患が主な原因疾患である。以下の3条件を満たした場合に判定する。見かけ上A1なので、「A1-TLS」と記す。
1) 音声言語表出、動作・表情・目つきの表出が完全に欠如している。
2) 表出の欠如を説明できる重篤な知能障害・感覚障害は医学的検索から見出されない。
3) 表出の欠如を説明できる神経筋疾患の存在は医学的検索から想定される。
改訂
- 1) 2014.1.15改訂
- 「完全閉じ込め状態」を追加する。
- 「E:おつりの計算ができる」の1)に「時間がかかっても、筆算で計算できればいいものとする。
実際的には、渡されたおつりの百円程度の間違いには気づけばよしとする。」を追加する。 - 2) 2014.7.17改訂
- 「移動機能レベル」を「移動機能」に変更する。
- 「知能レベル」を「知的発達」に変更する。